将来にそなえて保育士の資格を取ろうって思っているんだけれど・・・
保育士国家試験の実技ってどんな感じ??
実技試験は3科目から選べるって聞いたけど、どの科目もずば抜けて得意とは言えないし・・・
手間をかけずに一発合格するには、どれがいい?
これから保育士試験を受けようと考えている、保育士の卵さんから実技試験の選び方についてご質問をいただきました!
そこで今回は、合格に結び付きやすい保育士試験の実技科目の選び方に関して詳しくお伝えします。
保育士試験の実技科目の合格率
保育士国家試験の実技科目って?
保育士の国家資格を
取得する為の試験には、
実技試験が含まれています。
具体的には
音楽・造形・言語の3科目から、
2科目を選択して受験する必要があります。
この実技試験に関して
よく言われることですが、
「落とす為の試験ではない」
「ほぼ合格する」とされています。
実際に、
実技試験は難関といわれる
筆記試験の合格者のみ受験できる
試験ですし合格率は80%~90%です。
保育士国家試験の実技の合格率は?
平成31年度の保育士試験の
全科目合格率は約20%ですので、
比較すると実技試験単体では
合格率はかなり高いといえます。
受験者数 | 合格者数 | 総合格率 | 実技合格率 |
73,166人 | 17,178人 | 23% | 80-90% |
とはいえ!!
毎年10%~20%の方が、
難関と言われる筆記試験を突破後
実技試験に不合格となってしまって
いるんです。
ですので全く準備せずに
当日参加するだけで合格できる
という甘いものではありません。
しっかり対策を練って、
本番の保育士の実技試験に
合格してゆきましょう。
保育士試験の実技科目
①音楽に関する技術
まず保育士の実技として
代表的な音楽に関する試験に
ついてみてゆきましょう。
過去の音楽に関する技術の
試験内容としては・・・
子ども(0歳~6歳)に
歌って聴かせることを想定して、
課題曲2曲を弾き歌いするというものです。
・自分の声ではっきり歌う技術
・楽器を演奏して伴奏する技術
・リズムなど総合的に表現する技術
伴奏の楽器はピアノ・ギター
アコーディオンのいずれかから
選ぶことができます。
※ピアノ以外の楽器は試験当日に
自分のものを持参。
楽譜は市販の楽譜か、
『受験申請の手引き』に掲載された
メロディー譜(コードネーム)に沿った
編曲で演奏します。
楽譜は持ち込み可ですが、
なるべく暗譜して本番に
挑みましょう。
【過去の5年間の課題曲一覧】
令3年 | ①『あひるの行列』
作詞:小林純一 作曲:中田喜直 |
②『揺籃のうた』
作詞:北原白秋 作曲:草川信 |
令2年 | ①『大きな栗の木の下で』
作詞 :不明 外国曲 |
②『ニャニュニョのてんきよほう』
作詞:小黒恵子 作曲:宇野誠一郎 |
令1年 | ①『どんぐりころころ』
作詞 :青木 存義 作曲:梁田 貞 |
②『バスごっこ』
作詞:香山 美子 作曲:湯山 昭 |
平30年 | ①『おかあさん』
作詞 :田中 ナナ 作曲:中田 喜直 |
②『アイ アイ』
作詞:相田 裕美 作曲:宇野 誠一郎 |
平29年 | 『こいのぼり』
作詞 :近藤 宮子 作曲者不詳 |
『一年生になったら 』
作詞:まど・みちお 作曲:山本 直純 |
音楽に関する技術の試験は、
楽譜の準備や編曲等のある程度の
専門知識や演奏技術が必要になります。
はっきりと大きな声で歌うには
自分の声の高さに合わせて伴奏譜を
変調したりする場合もあるからです。
ですので、
「音楽が好き」というだけでは
合格が難しい部分があります。
②造形に関する技術
次に造形に関する技術の
実技試験内容を確認してゆきましょう。
この科目は、
造形に関する技術となっていますが
実際には色鉛筆で絵を描くという
試験内容となっています。
絵にする題材は、
『保育の一場面』で
具体的には当日試験の中で
知らされます。
・情景・人物の造形表現に関する技術
・全体的な色使いに関する技術
・限られた時間内に仕上げる技術
当日の持ち物として、
鉛筆かシャープペンシルと
12~24色鉛筆・消しゴム
腕時計が必要となります。
クレヨン・パス・マーカーペン
フリクション製品は使用不可、
鉛筆削りは試験官に承諾を得れば
使用可となっています。
造形に関する技術で求められる
表現としては保育園の実務で
役立つようなものです。
精密・写実的すぎたり、
芸術的なダークな色使いは
おすすめできません!
全体的に楽し気な雰囲気や
躍動感が出せるような工夫が
必要です。
また、
試験時間が45分間となっており
全体を完璧に仕上げるには
意外と時間ギリギリになります。
事前に何度も描画練習をして
当日に備えることが重要です。
③言語に関する技術
そして、
受験者の多くが選択する
「言語に関する技術」です。
実際に、
この素話は実際の保育の現場で
いちばんよく使う技術であると
言っても過言ではありません。
ですので、
実技試験を通して勉強しておくと
役に立つと思います。
・子どもの年齢に合わせた話し方
・子どもの集中を集める表現技術
・限られた時間内にまとめる技術
保育士試験を受験する際に取り寄せる
『保育士試験 受験申請の手引き』に
試験の課題が掲載されます。
具体的には
「○人の○歳児向けに○分間、
集中してお話を聞いてもらうことを
想定してお話を行う。」というものです。
目の前の子どもに話すように
身振り手振りを加えるのは良いですが
絵本や道具の使用はNGです!
例年、
いくつかの童話が課題として
挙げられているので1つ選びます。
【過去5年間の課題一覧】
年度 | 課題 |
令3年 | 1.「ももたろう」
(日本の昔話) 2.「3びきのこぶた」 (イギリスの昔話) 3.「おおきなかぶ」 (ロシアの昔話) 4.「3びきのやぎのがらがらどん」 (ノルウェーの昔話) |
令2年 | 1.「ももたろう」
(日本の昔話) 2.「3びきのこぶた」 (イギリスの昔話) 3.「おおきなかぶ」 (ロシアの昔話) 4.「3びきのやぎのがらがらどん」 (ノルウェーの昔話) |
令1年 | 1.「おむすびころりん」
(日本の昔話) 2.「ももたろう 」 (日本の昔話) 3.「3びきのこぶた 」 (イギリスの昔話) 4.「3びきのやぎのがらがらどん」 (ノルウェーの昔話) |
平30年 | 1.「 おむすびころりん」
(日本の昔話) 2.「3びきのこぶた 」 (イギリスの昔話) 3.「3びきやぎのがらがらどん」 (ノルウェーの昔話) 4.「 てぶくろ」 (ウクライナ民話) |
平29年 | 1.「 うさぎとかめ」
(民話) 2.「 おむすびころりん」 (日本の昔話) 3.「 3びきのこぶた」 (イギリスの昔話) 4.「 にんじん、ごぼう、だいこん」 (日本の昔話) |
課題の選び方ポイント!
☆登場人物が少ない
☆シンプルなストーリー
☆場面転換が少ない
試験にパスするためには、
まずは基本をしっかりと
押さえる必要があります。
聞く側がハラハラ・ドキドキの
お話は場面転換が多く話者には
高い技術力が必要です。
身も蓋もない話ですが、
おもしろさよりも話しやすさや
伝わりやすさを重要視した方が
無難ですよ。
おすすめは、
「おおきなかぶ」「おむびころりん」です。
逆に難しいと感じるのは、
「3匹やぎのガラガラドン」
(話の内容がわかりにくい)
「ももたろう」(長い)あたりです。
ただ試験官の方は一日中、
「おおきなかぶ」や「おむすびころりん」を
聞かされていると思うので・・・
難しいお話にチャレンジして
加点を狙うというのもありかも
しれません。
保育士試験の実技はどれがいい?
自分の特性に合った実技科目
まず、
すべての人が必ず合格できる
科目というものはありません。
自分が少しでも得意だったり
過去に経験がある科目があれば
迷わずその科目を選択しましょう。
音楽に関する技術は?
特に音楽に関する技術は、
技術や知識の有無で差が出ます。
過去に音楽教室に通っていたり
楽器を独学していた等の経験があれば
その特技を生かしましょう!
保育士に求められるピアノの技術は
バイエル終了程度と決して高く
ありません。
課題を初見でスムーズに
弾き歌いできるレベルであれば
合格は難しくありません。
少し難しいと感じるならば、
音楽に関する技術は選ばないか
練習時間を多く確保して
臨むことがおすすめです。
造形に関する技術は?
造形に関する技術は、
もちろん絵が上手い方が有利ですが
写実的なデッサン力や芸術センス
というより・・・
保育園の中の造形指導や
壁面制作等で役立つような
技術です。
子どもが親しみやすいような
デフォルメされたかわいい絵を
短時間に描画できるか?
全体のバランス良く
温かみのある雰囲気の創作を
作れるか?
そういった部分を見られるので、
保育士向けの雑誌等を参考にして
練習を重ねてゆきましょう。
言語に関する技術は?
言語に関する技術は、
子どもに「お話」をするという
シンプルな課題です。
ですので、
多くの受験者の方が実技科目に
選びます。
ですが、
言語に関する技術の試験の課題は
日常的に他の人や子ども達とする
普通のおしゃべりとは違います。
自分の話術や身振り手振りだけで
素直な子どもの心をつかむ技術は
かなり奥深いものです。
「お話」は誰でもできるからこそ
とても難しいという側面も持っています。
見えない子ども相手にも
イキイキとお話をするという
演技力も重要です。
「かんたん」とタカをくくらずに
事前準備をしっかりとして、
たくさん練習を重ねて本番に
臨みましょう!
ぜひ!すてきな保育士さんが
増えることを願っています!!
出典・参考:
一般財団法人全国保育士養成協議会
https://www.hoyokyo.or.jp/